学校における環境教育指針           和歌山県教育委員会  平成15年6月

 

 

3 環境教育の進め方

  環境教育の進め方については、中央教育審議会第1次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(平成8年7月)、中央環境審議会答申「これからの環境教育・環境学習 ―持続可能な社会をめざして−」(平成11年12月)、「環境基本計画−環境の世紀への道しるべ−」(平成12年12月)などの中でも示されている。これらと前項の課題などをふまえ、本県の学校教育における環境教育は次のように進めるものとする。

1)各教科などの連携を図り学校全体として取り組む
学校の教育計画に環境教育を明確に位置付け、各教科の指導内容と相互の関連付けを明確にし、「総合的な学習の時間」などと有機的に連携・発展させることで、学校教育活動全体の中で体系化するとともに、全教職員一体となった指導体制を確立していくこと。

(2)環境と人間とのかかわりを総合的にとらえる
環境問題が人間の生産活動や日常生活と深くかかわるとともに、多方面にわたり複雑に絡み合っていることが多いことから、児童生徒には環境問題を一面的に提示するのではなく、その背景や原因も併せて問題提起し、どう解決をしていくかの道筋を考えさせること。その際、科学的なものの見方、考え方、評価の方法も併せ指導すること。

(3)目的を明確にする
環境学習を実践する際は、廃棄物問題、大気汚染、水質汚濁など個別のテーマを取り上げることになるが、主体的に参加する意欲を高め、活動の自己目的化を避けるため、そのテーマが持続可能な社会の実現という大目標に至る全体像の中で、どういう位置付けで具体的に何を目的としているかを明確にすること。

(4)体験学習を重視する
   環境教育の基礎となる自然を大切に思う心は、自然と接して自ら体験し、感じ、わかることで身に付くことが多い。幸い本県では、豊かな自然環境が残されていることから、自然体験を環境教育に結びつけることを重視すること。
  また、実践力を育成する意味からも、清掃活動やリサイクル活動などのボランティア活動に参加できる機会を十分提供すること。

(5)マルチメディアの活用
地球環境に関する情報やデータはインターネットで得られるものも多いので、体験学習などとのバランスを考えながら有効に利用すること。また、定量的な分析や評価をするにはパソコンが必要不可欠であり、その手法についても指導すること。さらに、メールなどを活用し各学校の児童生徒同士の情報交換にも取り組ませる。

(6)まちづくりへの参画
環境教育のテーマとしては、できるだけ地域の身近な環境課題を取り上げ、原因探求から解決の方法を考えさせ、関係者との連携のもと環境に配慮した地域づくり、まちづくりに参画する体験をさせる。
その際、自然環境だけでなく地域の特性を生かした良好な景観を形成することや歴史的、文化的な遺産の保全などの重要性にも配慮すること。