こども科学館 環境教育指導要領          2005年6月         2008年7月改正 土井

こども科学館の環境教育   

目的 : 自然や人々と共生する豊かな心と学力を身につける

目標 : 1.自然との体験により、豊かな心を養う

2.自然、生態系、環境問題に関する知識、関心を身につける

3.環境問題に関する問題解決能力を身につける

 

1.自然との体験により養う豊かな心とは、

 

生き物が生きているという感覚、物言わぬものを大切にする心

   美しいものや自然に感動する心、いのちを尊ぶ心

思いやり、やさしさ、相手(自然や人間)を理解する心

   自然や人間と共生する心、正義感、公正さを重んずる心

                     (参考:H16文科省パンフ)

   これらの豊かな心は、自然体験、社会体験、文学体験、道徳体験などさまざまな体験によって、

養われる

   

   特に5感を通しての自然体験によって養われる、「さまざまな情緒や豊かな感受性」は豊かな心の基礎となる

   よって 理科学習や環境学習において、自然体験は重要されなければならない

2.自然、生態系、環境問題に関する知識、関心とは

  

実際に体験して得られる知識や関心を重視する

  生態系の知識 :大気、水、土壌、生物等の間を物質が循環し、生態系が微妙なバランスを保つことで、地域の自然環境が成り立ち、ひいては地球全体の環境が成り立っていること

人間も自然生態系の循環の中で、生きなければならないことを理解する

私たちの生活(大気、水、土壌、気候、食料生産、など)は、自然の生態系の循環の上に成り立っているものであること

  私たち人間の経済活動から出す廃棄物(二酸化炭素も含む)は、自然の浄化能力を越えており、それが元で、それが元で環境(地球、地域)が破壊されている 

また、世界中の人々も共生していかなければならないことを知る

 

  人間活動からの環境負荷の排出が環境の自浄能力の範囲内にとどめられること

    人間活動が生態系の機能を維持できる範囲内で行われること

 

3. 問題解決能力とは

  

  問題解決能力には、情報収集力、思考力、判断力、表現力が含まれる

  実際の環境問題を調べ、解決する方法を考えて、できることから取り組んでみる

  小学生では、身近な問題に取り組む

 

目標の順序として、まず、個人の能力を伸ばすことを第一目標として、次に社会のために環境問題について考える。

 

参考文献:環境教育指導資料(小学校編)、文部省、1992、大蔵省印刷局

環境基本計画、環境省、2001、ぎょうせい発行.  

     環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進に関する基本的な方針、文部科学省、2004.

     豊かな心と確かな学力パンフ、文部科学省、2004.



こども科学館では、自然体験を中心とした環境教育を実施しています。

 身のまわりの植物、動物などとのふれあい体験がたいへん重要であると考えます。5感を使った生き物とのふれあい体験によって、
 
「さまざまな情緒や豊かな感受性」 が養われ、それらの積み重ねにより、「豊かな心」が育まれると考えています。

 また、生物の名前を覚えることも、基本であり、登校途中で、植物名や昆虫名などが言えるようになることも重要なことと考えられる。
 その上で、海や山、川のいろんな生態系についての理解を深めるように考えています。

また、館内展示、出張指導を通して、実践している。


実施内容

1.館内のパネル、ホームページ等による解説
地球環境問題学習・エネルギー問題学習・循環型社会学習・生物多様性保全学習,、全国星空継続観察調査の結果まとめ

2.野外教室の実施(年間12回)・・・生物多様性保全学習
海の生き物を調べよう(加太・5月)、干潟の生き物を調べよう(和歌浦・5月)、
昆虫植物採集の仕方(岡崎・7月)、木の実でリースを作ろう(11月・風土記の丘)など

3.出前授業(生活科・総合的学習の講師派遣・その他団体のイベント講師・土井)
ほとんどが生物多様性保全学習


実践
 こども科学館自然観察会(年12回)、小・中学校の授業(生活科・総合的学習など年5〜8回)、
 他団体(自治体・NPO)主催の観察会

1.「野草の名を覚えて、植物と友達になろう」運動実施中・・・・・種の多様性理解の入門
   その時期に目立つ身近に生育する野草を年齢に応じて覚え、身の回りの植物について理解する。
   
2.自然の生態系の観察・・・・・種の多様性理解(基本的な種の名を覚えよう)
              生態系の多様性理解、生態系のしくみと働きの理解
  秋葉山の自然、章魚頭姿子山の自然、加太・雑賀崎の海岸生物、干潟(和歌浦、紀ノ川河口)の生物、
   田や池の生き物、川の生き物
   
3.1.2.の学習を通じて、自然はすばらしいもの、人間にとって必要なものという認識を身につけ、自然を保護、
 保全していこうとする意識を芽生えさせる。







背景
 

地球環境問題・・・・・・地球環境問題学習
 原因 : 人類の出す廃棄物が多すぎる
    化石燃料の消費によるCO2排出 地球温暖化、異常気象・・・エネルギー問題学習
      フロン  オゾン層破壊、紫外線あびる
      有害化学物質   環境ホルモン、アレルギーなど
      地球の自然の生態系のシステムの物質循環を乱している

 解決のために
1. 人類の出す廃棄物を自然の生態系の浄化能力内に収める。  地球の自然循環を取り戻す。
        例:再生可能エネルギー(自然エネルギー)を使う・・・・生物多様性保全学習
                                   エネルギー問題学習

  2.人類の出す廃棄物を、人類の社会システムによって、永久に循環させて使う。  
    循環型社会の構築 ・・・・循環型社会学習

3.結果的に人類は、自然の生態系のシステムの中で物質循環を乱さないように生きるようにしなければならない・・・・生物多様性保全学習

 環境教育学習形態  
  地球環境問題学習・エネルギー問題学習・循環型社会学習・生物多様性保全学習


環境学習・生物多様性保全学習の法的根拠・・・別紙

「生物多様性保全学習」とは・・・
  種内の多様性(遺伝子の多様性)
  種間の多様性
  生態系の多様性           これらの保全教育

簡単に言うと
・生物には、いっぱい種類があり、人類は、食料や医療など生物に頼って生きているから、生物を大切にして、生物と仲良く生きてゆかねばならない。
・生態系のしくみと働きを理解する。
 生態系の働きのみによって、空気や水、土が生物浄化によってきれいになり、自然の物質循環が保たれて,気候も安定する.生態系の支えがあって、海産物などの食料が得られたり、国土の保全が保たれている。   よって、人類は、生態系を保全しなければならない
・単純に自然や生き物に囲まれて生きるのは、よいことだと実感する。