おとめ座 Vir.

  おとめ座はギリシャ神話に出てくる女神デーメーテールの姿で、手に持った麦の穂のところに光る1等星がスピカです。

スピカは、おとめ座の1等星。 6月の旬の星 6月10日ごろに午後8時南中

 星を結んで女神の姿を想像できますか。実際にはスピカから始まるY字形で見当をつけるとよいでしょう。

 おとめ座の星をたどって乙女の姿を連想するのは難しい。おとめ座の明るい星と言えば1等星のスピカだけで、他の星は街中ではかなり見つけにくい。これらの星を結んで乙女の姿を連想した古代人達が空を見上げていた頃は電気がなかったから、それこそ数多くの星が降るように空いっぱいに見えたに違いない。 おとめ座は、星座が初めて作られた古代バビロニアでもすでに星座としてありましたが、はっきりと麦の穂を持った女神の姿となったのは古代ギリシャだとされています。

ギリシャ神話では、この女神は農業の女神デーメーテールまたはその子のペルセポネー、あるいは正義の女神アストレアとはっきりしません。 さて、ゼウスの妹デーメーテールには一人娘のペルセポネーがいました。あるとき、ペルセポネーは草原で花をつんでいると、一つの茎に百も花が咲いてとても良い香りがする花を見つけました。その花をつもうとすると、地面が割れて四頭の黒馬に引かれた金色の馬車が出てきました。馬車に乗っていたのは冥土の神プルトーンで、ペルセポネーを地底にさらってしまいました。
 これを知ったデーメーテールは悲しみのあまりほら穴にこもってしまいました。そのため春が来ても草花は芽を出さず、1年中冬のようになってしまいました。ゼウスは、ペルセポネーが冥土の食べ物を一切口にしてなければ地上に帰らせようと決めました。ペルセポネーが地上に帰ると、デーメーテールは洞穴から飛び出し、我が子を抱きしめました。すると、冬のようであった大地は見る見る草におおわれました。 しかしペルセポネーは、冥土でざくろの種を4粒食べてしまっていました。それで、1年のうち4カ月は冥土で、残りの8カ月は地上で暮らすようになりました。このため、娘がいない4カ月はデーメーテールが洞穴にこもるので草木が眠りにはいる冬になり、四季の変化が起こるようになったと伝えられている。

デメテルの娘・ペルセポネがハデスに誘拐されたわけは......

ゼウスは、敵であるテュポンやプリアレオスやエンケラドスをやっつけてエトナ山の下に埋めました。テュポンは星にも届く巨体で、肩から百の蛇の頭が生え、眼からは火を吹く。そして足は巨大な毒蛇がとぐろを巻いた形という怪物です。エンケラドスは「大音響を鳴らす者」という意味の名前だそうで、土星の衛星エンケラドスが火山活動をしていることは偶然かな。怪物たちが山の下に埋められたので、地震がおきたり、火山が噴火したりするようになって、地下は騒々しくなりました。これを心配したのは、地下の世界・冥府の支配者であるハデスです。ハデスは黒い馬に引かせた戦車に乗り、あちこち見て回りました。

このことを見ていたのは、女神アフロディテです。アフロディテは我が子・キューピッドに言いました。「誰にも勝つおまえの矢で、冥府の王・ハデスの胸を射抜いておやり。」と。ハデスを打てる矢は、キューピッドの矢だけだったのです。

これにはわけがあって、アフロディテは神々の世界でアテナやアルテミスという他の女神がアフロディテ親子の力を見くびっていると思っていたのです。とりわけ、デメテルの娘であるペルセポネにもそう思われているのではないかと心配していました。それで、キューピッドにハデスを射させたのです。キューピッドの金の矢には、恋心が生じさせる力がありました。

 

 

スピカは、おとめ座の1等星。

おとめ座の星の固有名 ( 「星座の神話」 原恵著 による。)

バイエル符号  固有名   固有名の意味
α(アルファ)星  スピカ  とがったもの
β(ベータ)星  ザヴィヤヴァ  犬小屋
γ(ガンマ)星  ポリマ  ローマ神話の予言と出産のニンフの名前 
ε(イプシロン)星  ヴィンデミアトリックス   ぶどうをつむ女
η(イータ)星  ザニア  かど
ι(イオタ)星  シュルマ  衣のすそ


おとめ座の主な恒星(Hipparcos星表による)

  個有名 JohnsonV Johnson B-V 視差(1/1000秒) 距離(光年) スペクトル 絶対等級 太陽の何倍明るい
αVir Spica 1.031 -0.235 12.44 262 B1V -3.55 2200
βVir Zavijah 3.660 0.518 91.74 36 F8V 3.403 3.6
γVir Porrima 2.74 0.37 84.53 39 F0V+... 2.4 9.3
δVir Auva;Minelauva 3.601 1.571 16.11 202 M3III -0.57 140
εVir Vindemiatrix 2.947 0.934 31.90 102 G8IIIvar 0.369 59
ζVir Heze 3.392 0.114 44.55 73 A3V 1.62 19
ηVir Zaniah 3.894 0.026 13.06 250 A2IV -0.53 136
θVir   4.381 -0.008 7.86 415 A1V -1.14 240
ιVir Syrma 4.131 0.511 46.74 70 F7V 2.418 9
κVir   4.334 1.323 14.59 224 K3III 0.00 83
μVir Rijl al Awwa 3.914 0.385 53.54 61 F2III 2.51 8.2
νVir   4.212 1.501 10.42 313 M0III -0.87 185
οVir   4.224 0.967 19.08 171 G8III 0.523 51
τVir   4.254 0.121 14.94 218 A3V 0.10 76
109Vir   3.730 -0.005 25.35 129 A0V 0.75 42
110Vir   4.514 1.026 17.78 183 K0III 0.64 46