ブラックホール

1 ブラックホールは重力が強い星である  ブラックホールは天体の一つです。まず星にはいろんな種類があることから...。

恒星 太陽のように自分で光る星(星の中心では水素がヘリウムに変わる核融合がおきていて、そのエネルギーで光を出す。) 質量が大きな星は、中心の圧力が高くなって温度が上がり、核融合が活発におこるので明るい。温度が高くて青く見える。そのような星は早く寿命がくる。銀河系には2000億以上の恒星がある。

連星 2個の恒星が回りあっている星。やがてどちらか一方がブラックホールになると、相手の星をすいこみはじめる。

散開星団 恒星が何十から何百も集まったもの。すばるがその代表。散開星団の星たちは星を作るもとになる分子雲から一度に生まれてくると考えられている。星団の中で大きな星は早く進化して赤くなっている。

球状星団 恒星が何万も集まったもの。散開星団に比べて年老いている集団で、比較的遠くにある。ペガスス座にあるM15球状星団の中には中間質量のブラックホールが発見されている。

惑星状星雲 太陽のような星が一生を終えると、星の外側のガスがひろがってまるい星雲になる。中心に残った星は白色矮星になる。

超新星残骸 太陽の9倍以上の質量の星が一生を終えるとき、爆発する。これが超新星で、飛び散ったガスが超新星残骸として星雲になる。爆発した星の中心は爆発の力で縮められ、中性子星やブラックホールになる。

散光星雲 オリオン大星雲やM8干潟星雲など。巨大なガスのかたまりで、ところどころ濃いところではガスが集まってきて星が生まれている。生まれた高温の星の光をうけてガスが光っているので、星雲として見える。

暗黒星雲 光らない星雲 背後の星や散光星雲をかくしていて黒っぽく見える。散光星雲と同じもので、やがて星が生まれる材料となる。

ここまでのものが全部合わせて巨大な渦巻きになっているのが銀河系

銀河 アンドロメダ銀河が代表 何千億もの恒星とガスなどが巨大な渦巻きのようになっているもの。ふつう、銀河といえばアンドロメダ銀河のような渦巻きをいうが、M87銀河のように渦巻きが見られない楕円銀河や、もっと規模の小さい矮小銀河もある。

銀河団 銀河がたくさん集まったもの。

 

2 ブラックホールのできかた

ブラックホールは、太陽の30倍もの質量がある星が一生を終えるときに超新星爆発したとき、その中心にできると考えられています。

 超新星爆発でブラックホールができる ブラックホールは大中小3種類

 巨大ブラックホール

 中 

 普通のブラックホール

3 ブラックホールを考えた人々 アインシュタイン,シュバルツシルドから小田実までブラックホールを研究した人々をたどる。

1916年、アインシュタインが一般相対性理論を発表

1916年、K.シュバルツシルドがアインシュタインの式をといた。 強力な重力のために光さえ出てこれないようになる。事象の地平線

                    .....しかし、理論の上のものだった。アインシュタインはそのような天体は信じなかったそうだ。

1930年 チャンドラセカールが星の最後は2通りあることをつきとめる。 ・・・ブラックホールの予言

 インドの天文学者、チャンドラセカールは、質量が太陽の1.4倍以上の星は白色矮星にならずにもっと収縮するらしいと結論したのだ。

太陽のような恒星は核融合の水素が尽きると白色矮星になる。白色矮星はシリウスの伴星として当時すでに知られていた星で、1cm3あたり100kg以上もの質量がある星だ。このような高密度の星は重力が強い。星の内部にある電子がその重力に反発して星がつぶれることを防いでいる。イギリスのケンブリッジ大学へ留学したばかりの、チャンドラセカールは、当時はまだ新しかった量子力学と相対性理論を使って、一生を終えた星の内部では電子がどのようにふるまうか計算した。そして質量が太陽の1.4倍以上の白色矮星は、電子の圧力ではその星をささえきれずにつぶれるということがわかったのだ。

 .....星がつぶれる.... だが、当時の天文学の大御所、エディントンはブラックホールのような天体があることを信じられずに大反論しました。エディントンは、星の内部はどのようになっているか理論体系を完成させた偉大な天文学者です。そしてアインシュタインの一般相対性理論の重要性に早くから気づき、アフリカまで出かけて皆既日食を観測して一般相対性理論が正しいことを確かめました。しかし、ブラックホールのような当時としては非常識な物理現象を信じられなかったのでしょう。

1932年 チャドウィックが中性子を発見  天文学者ツヴィッキーが中性子でできた中性子星のアイデアを出しました。

1939年 オッペンハイマーは、中性子星の質量には上限があることを計算した。

1958年 オッペンハイマーとホイーラーの論争 ホイーラーは、「星が崩壊することを防ぐ自然法則があるはずだ」と信じていました。

1960年 サンデージが3C273を発見

1963年 3C273はものすごく明るいということがわかる。マーチン・シュミットがスペクトルを調べ、大きな赤方偏移を発見。

1967年 ブラックホールという名前をつける。

1969年 クエーサーのエネルギー源はブラックホールではないか。リンデン・ベル(D. Lynden-Bell)が降着円盤のモデルを示す。  銀河の何百倍ものエネルギーを出している小さな天体。

1971年 はくちょう座X−1はブラックホールだ。 小田稔

 

4 ブラックホールの物理

 強い重力  ブラックホールに近づくと急に重力が強くなる。

 潮汐力

 光の赤方変移

 時間が遅れる

5 ブラックホールは光を出す

ブラックホールは、光さえ出さない天体であるので単独で宇宙空間にあると発見することは難しいものです。が、ブラックホールの近くに別の星があると、その星がブラックホールの強い重力を受けて異常に動いたり、ブラックホールに吸い込まれる物質がX線などを出したりするので、そこにブラックホールがあることがわかってきます。

 ブラックホールの周囲にある降着円板はX線などを出している。ジェット

 

6 発見されたブラックホール

6 銀河系内部

  はくちょう座X−1 8000光年

マイクロレンズ現象 MACHO-96-BLG-5 オーストラリアとチリにある地上の望遠鏡で、1996年に遠くの星が一時的に明るくなる現象が観測された。その場所を1999年6月15日にハッブル宇宙望遠鏡で詳しく調べられた。そしてこの現象は、ブラックホールがその星の前を通って、レンズの働きをしたと結論された。

MACHO-98-BLG-35

MACHO Massive Compact Halo Object

7 銀河系中心部の巨大ブラックホール

8 銀河系の外 アンドロメダ銀河 クエーサー


★ブラックホール候補星 いろいろな現象からこれはブラックホールにちがいないと思われている天体

マイクロレンズ現象 1996年に、ブラックホールが遠い星の前を通り過ぎて重力レンズ現象がおきて、星が明るく見えた。1999年6月15日にハッブル宇宙望遠鏡で、その遠い星がとらえられて本当の明るさがわかり、ブラックホールは太陽の6倍の質量であることがわかった。

はくちょう座X-1 周期5.6日 ブラックホールの質量は太陽の6-15倍 伴星はB型超巨星、質量は太陽の24-42倍

 はくちょう座にある天体で、1966年にこのあたりからX線が出ていることがロケット観測で発見されました。X線は地球の大気に吸収されてしまうので、宇宙に出ないと観測できないのです。はくちょう座で最初に発見されたX線を出す天体であるので、この星は「はくちょう座X-1」という名前になりました。

LMC-X3 周期1.7日 ブラックホールの質量は太陽の4-14倍 伴星はB型主系列星

 小マゼラン銀河にあるX線源

はくちょう座X-3

SS433

4U 1543-47 伴星の質量は太陽の2.5倍程度 ブラックホールの質量は太陽の2.7-7.5倍

A0620-00 = V616 Mon.  周期7.8日 ブラックホールの質量は太陽の4-9倍 伴星はK主系列星、質量は太陽の0.2-0.7倍  2800-3400光年 直径は27-75km,質量は太陽の3-13倍

いっかくじゅう座にあるX線源で、1975年にX線の強さが10万倍にもなった。これはX線新星という現象で、K型の星が見えない伴星のまわりを7.75時間の周期で回転している。公転速度は最大で457km/s。伴星の質量は太陽の3.2倍以上はあると考えられている。

GROJ1655-40 マイクロクェーサー マイクロクェーサーは、恒星と同じ質量のブラックホールだ。伴星は、ブラックホールができたときの超新星爆発のときに生き残った星で、ブラックホールのまわりを周期2.6日で高速回転している。ブラックホールから出ているジェットは、光速の90%ものスピードに達する。

GS1124-T68 伴星の質量は太陽の0.5-0.8倍 ブラックホールの質量は太陽の4.2-6.5倍

GS2023+338 = V404 Cyg  周期6.5日 ブラックホールの質量は太陽の>6倍 伴星はK主系列星、質量は太陽の0.6倍ほど

 ブラックホールの質量は太陽の4-9倍 伴星はK主系列星

GS2000+25 = QZ Vul. 周期0.35日 ブラックホールの質量は太陽の5-14倍 伴星はK主系列星、質量は太陽の0.7倍ほど 1988年にあったX線新星 「ぎんが」でも観測されている。

GS1124-683 = Nova Mus 1991 周期0.43日 ブラックホールの質量は太陽の4-6倍 伴星はK主系列星

GRO J042+32 伴星の質量は太陽の0.3倍程度 ブラックホールの質量は太陽の6-14倍

GRO J1655-40 = Nova Sco 1994 周期2.4日 ブラックホールの質量は太陽の4-5倍 伴星はF主系列星、質量は太陽の2.34倍

H1705-250 = Nova Oph 1977 周期0.52日 ブラックホールの質量は太陽の>4倍 伴星はK主系列星、質量は太陽の0.3-0.6倍

 

M15球状星団,G-1球状星団 これらの球状星団の中心に中間質量サイズのブラックホールがあることが星の運動を解析してわかった。

M15のブラックホールは太陽の4000倍の質量、G-1のものは20000倍だそうだ。G-1は太陽の1000万倍の質量があって、もっとも大きな球状星団として知られている。

NGC4261銀河 おとめ座にあって距離4500万光年の銀河。中心にはこのような300光年の直径のディスクがある。ガスの回転速度から円盤の中心には太陽の12億倍の質量があると計算された。私達の太陽系よりそれほど大きくない領域にだ。オレンジ色に見えているジェットは電波の画像で、88000光年の長さにおよぶ。

NGC4438銀河 5000万光年の距離、おとめ座銀河団にある銀河。中心に巨大ブラックホールがある。高温の泡のようなガスが噴出している。明るい泡の大きさは800光年におよぶ。

M51銀河 M51銀河の中心にもブラックホールがある。中心には暗いX型のシルエットがみつかった。これはダストのシルエットで、太陽の100万倍の質量のブラックホールの場所を示している。最も暗いところは直径100光年のダストのリングにあたる。

M74銀河 M74は、うお座にある銀河で、この銀河の一部から周期的に変動するX線が観測されて、その原因は太陽の10000倍ほどの質量のブラックホールにちがいないと考えられている。 アストロアーツ天文ニュース

この銀河に2002年1月29日に発見された超新星、SN2002apは極超新星で、普通の超新星(タイプIa)より100倍明るい星。極超新星の爆発ではブラックホールができると考えられている。発見者は日本の広瀬洋治さん。同年2月には12.3等になった。爆発した恒星は少なくとも太陽の40倍の質量があったと考えられている。

M87銀河 5000万光年 サーチライトのようなジェットが噴出している。中心の巨大ブラックホールによる。1918年にH.D.Curtisは、奇妙なまっすぐな構造があることに気づいた。1950年代になって、おとめ座からやってくる強力な電波源であるVir.AがM87のジェットであることがわかった。太陽の20億倍もの質量をもつ超巨大ブラックホールがあるのだ。このジェットは超高速の電子で、シンクロトロン放射によって青く見えている。ブラックホールの周辺にあるディスクの片方は秒速550kmで遠ざかり、反対側は同じ速さで近づいている。

NGC5128銀河 このダストの帯は、巨大銀河に合体した小さな銀河のなごりだと考えられている。若い青い星の集団が帯に沿ってあり、その外側はもともとあった赤い巨星や赤色矮星の光でソフトに光っている。暗黒物質の帯は、衝突したときの衝撃で圧縮されたダストや水素で、背景にある黄色の星の光で浮かび上がっている。近赤外線カメラとマルチオブジェクト分光器で捉えた中心部には、太陽の10億倍の質量のブラックホールがあって直径130光年の降着円盤があると考えられている。降着円盤の近くの赤い光は活発な中心からの放射で過熱されイオン化されたガスがひろがっているものである。

NGC6251銀河 こぐま座にあって、3億光年の距離にある。巨大ブラックホールの周囲に引き寄せられたガスが紫外線を出している。右側の画像は、可視光と紫外線の画像を重ねたもの。ダストの円盤は帽子の縁のように曲がっていて、片方の紫外線は隠れていると考えられている。

NGC7052銀河 直径3700光年のダストのディスクが太陽の3億倍の質量をもつブラックホールをとりまいている。ディスクのこちら側はより多くの星を隠しているし、赤より青い光を多く吸収しているので、このディスクは過去に銀河どおしが衝突したときになごりではないかと考えられている。分光観測によると、中心から186光年のところで円盤は秒速155kmで回転している。このことから中心のブラックホールの質量が太陽の3億倍であることがわかった。だが、この質量はNGC7052銀河の0.05%にすぎない。ディスクの質量はブラックホールの1/100にすぎないが、それでも太陽のような星が300万個も作れるほどだ。中心の光点は、ブラックホールの近くへ引き寄せられている星からのものだ。NGC7052銀河は強力な電波を出していて、互いに反対向きの2つのジェットも観測されている。


銀河系中心にも巨大ブラックホール ...... 心配はいりません。地球が吸い込まれることはありません。

銀河系の中心は「いて座」の方にあるのですが、そこは暗黒星雲にかくされていて、普通の光では見えません。

それは、「いて座A」とよばれる天体で、

いて座Aは1974年ごろに発見された。

 

X線 ....銀河系中心から強力なX線が出ている...X線天文衛星チャンドラ

2000 いて座Aの近くにある星の動きからいて座Aはブラックホールにちがいない。...2000年,ケック望遠鏡

2002年  いて座Aのごく近くの星(S2)がブラックホールから17光時間のところをスイングバイしたところを観測して、中心に質量が太陽の260万倍の超巨大ブラックホールがあることがわかった。...2002年,ヨーロッパ南天天文台のVLTの観測。

      ブラックホールへガスが落ち込んでいるところがとらえられた。 ....2002年,ケック望遠鏡

2003年 いて座AからのX線は、強くなったり弱くなったりしている。1999年から2002年の観測 ...2003年X線天文衛星チャンドラ

2004年 ブラックホールの直径は約2000万km...2004年,アメリカのVLBA(超長基線電波干渉計)

2004年 銀河系中心に第2のブラックホール(太陽質量の1300倍)...ジェミニ望遠鏡

2004年 銀河系中心に1億度の超高温ガス ...チャンドラ

2005年 銀河系中心にはブラックホールや中性子星が多数ある。....2005年1月,チャンドラ これらはやがて中心の巨大ブラックホールに飲み込まれてしまう。

銀河系中心から500光年ぐらいの範囲には、星が誕生するもとになるガスや塵が豊富にあって、大質量の星が次々と誕生しては超新星爆発を起こして短い一生を終えている。 ...アストロアーツ天文ニュース

チャンドラX線望遠鏡 1999年7月にスペースシャトルで宇宙へ。