全国星空継続観察は、星の見え方の観察を通して大気汚染などへの関心を高めるために行われているもので、毎年、夏と冬に行われます。


■和歌山市立こども科学館は平成元年(1989年)から参加しています。

       毎年の詳しい観察結果はこちらをごらんください。

      
写真による調査からわかったことはこちらです。


■観察方法は3種類
 星がどれだけ見えるかを調べる3つの簡単な方法で観察します。

1 肉眼で夜空を見て天の川が見えるかどうか調べる。

  最も簡単な方法です。天の川が見えないことにより空が明るくなっていることに気づき、環境問題の意識を高めることができます。残念ながら和歌山市では天の川はほとんど見えません。この方法は簡単でよいのですが、星空観察の経験者と初心者では天の川が見えるか見えないかを判断する基準が難しいこと、見えたとしてもどれだけ良く見えるかを記録できないなど、夜空の暗さを数値的に記録することはできません。

2 双眼鏡で決められた場所の星を見て、どれだけ暗い星が見えるか調べる。

  夏はおりひめ星の近くの領域、冬はすばるの領域を双眼鏡で観察し、用意された星図と比較してどれだけ暗い星が見えるか観察します。暗い星が見えるほど夜空が暗いと言えます。しかし、双眼鏡の固定方法、ピント合わせといった基本的な問題の他に観察者の習熟度の差、探究心の差などがあって正確なデータが得られません。初めて参加した子供はちょうど見えそうな星にチェックせず、本当は見えるはずがないほどのかなり暗い星にチェックを入れていたこともあって、見えている星が星図のどの星か確認することが困難なようです。夏、冬いずれも天頂付近を双眼鏡で見上げるのですが、無理な体勢をとるので星図と照合する困難さを増していると考えられます。双眼鏡で見るとさらに暗い星がたくさん見えることが経験できます。そのような理由で、当館では積極的に行っていません。

3 夜空の写真を写して夜空がどれだけ明るいか調べる。

  カメラを定められた条件にセットして真上に向け写真撮影を行います。ごらんのように夜空が明るいほど写真が明るく写ります。この写真を環境庁へ送り、測定が行われます。写真は返却されないので当館では2セット撮影して1セットを保管しています。写真撮影は手間がかかるのですが最も客観性が高いので、和歌山市内の本町公園と交通公園を定点として毎回観測しています。また1994年には和歌山市と周辺各地39箇所で調査を行いました。1995年には市内8箇所において24時まで1時間ごとに観測して夜空の明るさの時間変化を調べました。

   肉眼で夏の大三角に見える星を数えても星空調査ができます。(当館提案)

■今までの観察でわかった和歌山市の星の見え方。  詳しくはこちらをごらんください。

和歌山市全域で天の川はほとんど見えない。(下に記したように、交通公園あたりでは天の川のある場所を知っている人が、空気の透明度が良い夜に、目を暗順応させると見えていることに気づく場合があります。)

夜空の明るさは日によって違う。 その日の天候、特に大気の透明度に左右されます。

和歌山市中心ほど明るく、郊外ほど暗い。(データは古くなりますが、1994年に39個所で調査)

同じ場所、同じ夜でも、夜遅くなるにつれて星はよく見えてくる。

本町公園は交通公園より4倍も明るい。

 

■星や天の川が見えにくくなる原因

 星が見えにくい原因は、夜空が明るくなっているためです。生石山から見ると和歌山市の上空は空が明るく見えます。20年ぐらい前は南の田辺市がぼんやりと明るいだけだったのですが、最近では西の湯浅、北の岩出などもかなり明るくなっています。夜空が明るい原因は、街灯や広告灯などの光が大気中に浮かんでいる微粒子にあたって散乱するためです。微粒子はばい煙などの大気汚染物質だけではありません。ほとんどは大気中の水蒸気がもとになったもやのようなものです。大気汚染が全く無くても光によって夜空が明るくなります。 それで星が見えにくい原因の第一は照明にあると言えます。

 次に、私達の目は夜になると暗順応がすすみ、暗いものが見えてきます。現在のような明るい照明がなかった頃でも月あかりなどをたよりに活動を行ってきました。しかし、今は照明にあふれています。室内はもとより、夜の移動でもヘッドライトが道を明るく照らし出します。これでは私達の目は暗順応する必要がありません。明るい室内から外に出てすぐには明るい星だけしか見えません。5分ぐらいすると暗順応が進んで暗い星や天の川が見えてきます。生石山などへ星を見に出かけても、到着した直後はヘッドライトで照らされた道路を見ていたために目の暗順応が進んでないので天の川の細部まで見ることはできません。やはり数分経つと、星や天の川がもっとよく見えてきます。そしてペンライトでさえまぶしく、その光が目に入ると星は少し見えにくくなります。街中ではペンライトよりさらに明るい電灯に囲まれていますので私達の目は暗順応が進まず、暗い星が見えないのです。このように星や天の川が見えない原因の第二は周囲が明るいので暗順応が進まないこと思われます。

 平成19年夏に交通公園の星空を調査したときのことです。星空を調査するのに40分ほどかかるのですが、その間なるべく照明を見ないようにしていました。すると、その場所に到着したときは天の川が見えなかったのに、非常にかすかですが天の川がある部分の空が淡く明るいことに気づきました。天の川の場所を知っていて、暗順応するために努めたから見えたのであって、これを一般的には見えるとは言いがたいので報告書には見えないと記録しました。

 

 

環境省のこどもむけホームページ